スザニの基本分類
私が皆さんにお薦めするのは、わかりやすい3つの大分類で、その枠組みをおさえてから、さらに小グループで分ける考え方です。
西のスザニ
ブハラやヌラタ地域を中心に昔のバクトリア地域で多く制作されるデザインの総称で、地理的に近いペルシャの影響があると言われています。
全体の印象は優美で上品、繊細な花柄が多く、チューリップ、アイリス(あやめ科)、バラ、カーネーション、藤など、身近にある具体的な植物をモチーフとして採用しています。他に、低木や茂み、格子状のデザイン、細いつるなどもよく使われます。
全体として色を多く使っており、刺繍の素材は基本的にシルクで、布全体に対する刺繍の割合はそれほど多くありません
東のスザニ
「東のスザニ」は、サマルカンド+ホジェントなどソグド人地域で制作されるデザインの総称で、ステップ気候の遊牧民文化、インドのムガル帝国、中国などの影響があると言われています。
全体の印象は大きくて力強く、どこか呪術的な感じもします。モチーフは抽象的な幾何学模様が多く、花の種類は通常バラで、アーモンドの葉やザクロが多いようです。
全体として色が少なめで寒色が多く、刺繍の素材は綿やウールなど多様であり、布全体に対する刺繍の割合が高いものが多くなっています。
ミシンスザニ
近代に入って普及したミシンで刺繍したスザニの総称です。特にどの地域特産ということはなく、ウズベキスタンの主要都市で見かけます。
大量に出回っているものはデザインが割と今風で、布地が白以外の色が多く、縫い目が均一で一筆書きになっている、など特徴が分かるようになってきます。
一般にはミシン縫いの方が安く、典型的なお土産品です。博物館には驚くほど精巧なミシンスザニが展示されていることもあり、これはこれで芸術だと思います。ミシンスザニの中には、インドで作られて輸入されたものもあると聞いています。