スザニの学術的な研究の現状
スザニについての情報はとても限られているのですが、これまで私が目にしたり、聞いたりした情報をまとめてみようと思います。
スザニの語源
スザニという言葉はペルシャ語の針を意味します。このスザニという言葉の意味は一般には「綿または絹の布に施された特定の刺繍で、中央アジアのブハラやコーカンド地方で1750年頃から1950年頃までに作成されたものですが、もう少し特定のサイズ180cm X 250cmの特定の布をさすこともあるようです。これ自体は多くの本で紹介されているので、恐らく確定情報なのだと思われます。
スザニの分類学について
スザニの分類については、何種類かというのは専門家の間でも意見が分かれるところ。これといって学会で認定された分類方法などはないらしく、デザインによって、ブハラより、タシュケント風、タジク風など大まかな分類はあるようです。スザニのデザインについては、もっと前にさかのぼれるという説があります。絨毯や焼き物の模様との共通点も指摘されていますし、この地域の焼き物関連の単語はペルシャ語なので、ペルシャの影響が大きいとわかっているそうですが、スザニについての詳細は不明です。
スザニの研究はなぜ難しい?
いわゆる今のスタイルのスザニは、18世紀ごろからと言われていますが、そもそも各家庭で作られていたような民芸品なので、文字の記録がほとんどなく研究が難しいのだそうです。
そもそもが交易路で発達した伝統であることもあり、時代や地域ごとの特徴が混ざり合っているため、ルーツや歴史をトラックバックできないらしい。化石のように炭素による年代分析など、科学的な手法が使えるほど古くないですしね。
特に致命的だったのが、ロシアの征服の150年間の間。人々の生活スタイルや思想は大きく変わり、スザニに込められた意味も伝統も忘れ去れてしまいました。ソビエトに占領されている時に、混乱にまぎれて国外に流出しているので、産地なども曖昧になっているようです。
スザニの研究
このため、スザニに関する本や資料はほとんど存在しませんでしたが、代表的な文献としてG. L. Chepelevskayaの書いた本があります。これは包括的な文献ではありませんが、世界でも有数のスザニコレクションを踏まえたものだそうです(私は持っているはずもありませんが・・・)
Vok Collection(スペルなど詳細不明)というスロベキアのスザニ研究の源流といえる有名なレポートがあるそうです。こちらは旧ソ連の学者が、統合された地域の文化を研究・調査した古いものです。しかし、先進地域であるソ連から辺境の地の文化を検証しているような、上から目線の傾向が少なからずあり、あまり公平な評価ではないらしい。とはいえ、Vok Collection(ともう一つ古い本Yigal Yanai)以降それほどスザニの研究が進んでいるとは言えないようです。
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